そして「ふつうの軽音部」という漫画の作中の選曲が“おっさん向けすぎる”とも書いたが、どうして私自身は女性であり、人類の半分は女性であるのに、“おっさん、おばさん向けすぎる”とは書かなかったのか。「おっさんホイホイ」という言葉があるがあれも“おばさん”の存在が消されている。男性向けコンテンツが多いとはいえ、女性もいるだろうに。インターネット、とりわけ 2ちゃんねるやその派生サイトにおいては女性の存在が消されやすい(透明化ってやつ?)傾向があるのでまだ理解しやすいが「おばさん」はどこへ消えてしまったのか。
中年になると、自分の加齢に気付かされる。そのとき、私は「ばはんやな」と思う。(え、エイジズム!!)
これは父が使っていた方言なのだが(でもググっても出てこなかった)「お」がつかない「ばはん」。「あそこにばはんがおって〜」「あのばはんが〜」みたいに使っていた。これがいまのところ自分のなかでは“いちばんしっくりくる”ように感じる。「おばはん」はなんか嫌だ。侮蔑のニュアンスが強い(これもまた方言なので説明がむつかしいが)。「ばはん」はむしろかっこいい。「ばばあ」に近いから?
私の祖父は孫たちに「じいちゃん」と呼ばれるのを嫌がり「とーちゃん」と呼ばせていた。私もずっと祖父のことを「とーちゃん」と呼び、父も祖父のことを「親父、とーちゃん」と呼んでいた。一方祖母は「ばあちゃん」だった。子供心に「男なのに自分の加齢が受け入れきれずじいちゃん呼ばわりが嫌なのか。ばあちゃんはばあちゃんなのに……」と思った。
そして父も、私の従兄(父にとっては甥)に「おじちゃん、おいちゃん(九州や四国の一部ではこう呼ぶ)」と呼ばれるのを嫌い「あんちゃん(兄ちゃん)」と呼ばせていた。それもまた幼き私に「男のくせに……」と思わせた。似たもの親子ってわけか
なんか、そもそも方言含めて男の方が中年の呼称のバリエーション多くない?
男 おじさん/おじちゃん/おっさん/おっちゃん/おいちゃん/おいさん/おじん
女 おばさん/おばちゃん/おばはん/おばん
「おっちゃん、おいちゃん」に相当する女性バージョンの呼称あったらいいのに……と昔から思っていた。もっと親しみを込めた、ラフでカジュアルな感じの。
というか「おばさん/おばちゃん/おばはん」のイメージ、あんまりよくない(と個人的に思う)。おばちゃんはまだマシか……?
インターネットではよく「おじさん」を自称する女性を見かけるし「おばさんを通り越して早くおばあさんになりたい」という意見を目にする。「おばさん」は立場的にもファッション的にもすこし中途半端な立場で、確かに「おばあちゃん」のお洒落は素敵だしかっこいい。「可愛いおばあちゃんになりたい」とほざく女には昔から反吐が出る思いだったが、かっこいい「ばばあ」(ババアにあらず)には憧れる。
というか女性が集うとある匿名某所では一人称が「婆」で統一されていてちょっとびびる。
ババア問題はまたややこしくなるのでやめときましょう。