長女にあたる人間は私が愛していた犬を笑いながら何度も蹴っていた(実話)。やめて、なんでそんなことするん、といっても笑って、やめなかった。死ねばいいのに、苦しんで死ねばいいのに。もう殺すしかない。
夢なのに、これぜんぶ本当のことだ。
目が覚めた。悪夢をみた、という感覚だけ残っている。「う、うわあ」とかいいながらベッドから起き上がる。夫が「大丈夫?」と心配してくる。「夢が……ちょっと……しんどくて」と告げる。夫は「つ、つらい夢を見た、ってコト……?」みたいなこという。私は動物のぬいぐるみを抱っこする。そして唐突に、サンジュストさまのように笑いだす。(情緒がおかしい)夫の言葉がおかしくて……。
「つらい夢を、ご覧になったのですか」「ご覧になられたのですか? ……いやご覧になられたは二重敬語……」日本語難しい、と思う。
しかし最近は全然日本地図出てこんくなったな。コロナ禍前までは、夢に原家族出てきて苦しんでいると、夢のなかでいきなり日本地図出てきて(!??????)「おい! ええか! お前の実家は、ここ!! で、お前が”いま”おるんは、ここや!!!!!! 東京!!!!!!! 」と地図に東京が示され、私は「そ、そうやん!!!! 」とめっちゃ納得して飛び起きていた。なんやったんやアレ。少なくとも5回ぐらいあった。あと九州のおっさんが喋っている(父ではない)。精神科医に話したら珍妙な顔をしていた。
あと「”夫”の存在がなかなか思い出せない夢」もある。夢のなかで私は知らんあるいは知っとる男と関わっており、結婚しそうになったり一緒に暮らしそうになったりしてものすごい嫌な気分になっている。そして、夢のなかで「待って!! ちょお待って!! なんかもっとおったやろ、私の人生になんかほかに男!!!」と必死に思い出す。そうして「夫」のことを思い出し、「そうそうこいつや! ああよかった、こん男がおって。安心や」と思い目が覚める。
10年ぐらい前に、友人宅に泊まったことがあった。翌朝、私は「なんでわかってくれんの!!!!」という自分の絶叫と共に目覚めた。母がまたやらかす悪夢をみたのだ。まさか他人の家で悪夢をみて絶叫で起きるなんて粗相をするとは。小学生の女の子もいるので、怖がらせてしまった、と思って謝ったけど、彼女は私のいびきの方を記憶していたようで、本当にごめん、と謝った。友人が「鼻炎持ちのひとはいびきあるよね、私のきょうだいも同じ〜気にせんでええよ」と言ってくれてありがたかった。
もうひとつ。夢、というか寝ぼけているのか、奇妙な体験だけど(たぶん夢の範囲)、いま住んでいる家で眠っていて、「原家族の声がする」。寝ている私がいて、近くの部屋で原家族が“そこにいて、喋っている”のが聴こえる。完璧に本物の声で、気配もする。すごくうるさい。私は半分起きている。完全に、ここは実家で、ああ父が、母がいるなと思う。私は動けない。ものすごく気持ち悪くなる。どうにかこうにかして目が覚める。すぐには現在地がわからない。ここはどこ? となる。錯覚を起こしている。これが結婚直後は頻繁にあり、いまでもたまにある。
“現世は夢 夜の夢こそまこと” であるなら、私の “まこと” の世は地獄である。私は地獄を生き、幸せな “夜の夢” をみているというのか。しかし、事実 私の“まことの世” は長いこと地獄であった。しかしいまは? 私の “現世” は?
悪夢は、たしかに悪夢であった。しかし「悪夢をみた」というのは現実であり、げんに起床後も嫌な気分を引きずっている。
私の“現世”と“夜の夢” はいつ入れ替わったのか。ーーそれとも。両者ともに地獄であるならば?
そんなはずはない。いまの私には夫がいる。もう原家族と同じ場所にはいない。それでも、苦しい日はある。こんな春の日は特に、なおさら。
今日今が確かなら万事快調よ
ーー東京事変「閃光少女」
今日今が、“確か” かどうか、自信がないときもある。しかしそんな弱気なことでどうする。私は“私”をやる。うるさく、まるで人間ふたりぶん喋る。疲れすぎて、昨日など片頭痛がしたし倒れ込むように寝ていた。“私”をやるのはひどく疲れるが、やめることなどできない。それは死である。敗北だ。
“確か” かどうか、自信がないなら、明らかにしていく。確かにしていく。
「そんなに喋って、喉痛くならないの」と夫に言われる。夫はたくさん喋ると顎や頬の筋肉が痛くなるらしい。私はそんなこと一切ない。「強い」と夫は言う。
たまに薬を飲んでも眠れない夜があり、私も流行りのデエビゴなど処方してもらおうかと考えたが(しかしデエビゴは悪夢をみるという)、医者に伝え忘れた。それでも私は入眠法を見つけた。
自分の書いた、この blog の記事を頭のなかで思い出して、再生する。思考はしない。ただひたすら何を書いたか文章を思い出す。頭に言葉を並べる。そうするといつのまにか眠っている。
しかし、私は悪夢やフラッシュバックを抑える効果があるという薬を処方されているが(実際、悪夢治療に使われているらしい)、脳はそんなのたびたび突き破ってくる。
※何を服用してるかというとリボトリールなのですが、これ東京の精神科医に「悪夢とフラッシュバック抑える薬あるけど、いる?」と訊かれ、「そんな薬あるんですか!??」と動揺しながら 1mg 処方してもらい、転院し、現在の病院では 2mg に増えました。
頭痛外来の脳神経外科医に電子カルテ見ながら「お、リボトリール2mg も飲んでるんだァ〜 へえ〜」とひとりごとを言われましたが、え? 何? どう思ったんだ、脳神経外科医は。こえーよ医者のひとりごとは。
私、2mg も服用してるのに悪夢とフラッシュバック起きてるのか……
すこし前は、枕元で iPhone を充電していて、眠りたくない、苦しい、こわいというときは iPhone に手を伸ばして漫画を読んだりインターネット閲覧して朝を迎えていた(SNSは見ない)。多分これでかなり視力落ちてしまったと思う。馬鹿な行為だが、しかし「そうでもしないと死んでしまいそうなほどつらかった」。
先月、枕元の USB ケーブルが壊れてしまい、隣の部屋で iPhone を充電するようになった。そのため、この悪癖から逃れている。